読みやすいエッセーなのでおすすめです
クニリツこと国井律子さんはこれまでたくさんの国や地域に旅をして、そのことをエッセーとして発表しています。
どの土地について書かれた内容もとても文章が美しく、読みやすいものなのでバイクにそれほど興味がない人にもすっと入りこんで楽しむことができます。
私が個人的にとても気に入っているのが、イタリア旅行に出かけられたときのことをつづった「ボンジョルノ!」という書籍です。
旅行記とはいえ、その場所で経験したことの他にもそのときに経験をしたことをもとに思い出した国井さんの思い出なども合わせて紹介されているので、まるで友達から昔の話を聞いているかのようなほんわかした気分になれます。
エッセーの内容はとてもリアルで表現がうまいので、イタリアどころかヨーロッパにもいったことのない私でも、読み終わる頃にはなんだかイタリア通になってしまったように思えるから不思議です。
私が好きなくだり
「ボンジョルノ!」の中でも私が好きなくだりは、イタリアで借りたスクーターに乗って田舎道を走っていたところでガソリンがなくなり、給油をしようとしたことから始まるトラブルの数々です。
日本にいる私達にとっては、自動販売機に紙幣を入れてまったく何の応答もないという「飲み込まれ」はまず経験することはないことですが、イタリアなどヨーロッパ地域においては比較的よくある話のようです。
国井さんが経験したのはセルフスタンドでのことで、紙幣は飲み込まれるわクレームを言おうとするもお店の人が英語を全くわからないわとかなりさんざんな目にあっていきます。
また「Gasolio」と表示をされているのは実は「ディーゼル」だったというオチも、まるで冗談のようなおもしろさです(ご本人にとっては笑い事ではなかったでしょうが)。
他にも、女性一人でイタリアの田舎道を走っていたら、やたらと地元男性にベタベタとよって来られるので、日本語で追い払ったというようなエピソードも、その瞬間には笑えなかったであろう経験を楽しく紹介してくれます。
意外だったのが国井さんはイタリアやヨーロッパの美術関連の作品にはあまり興味がないということです。
また20代になりたての頃にはブランドもののバイヤーとして頻繁に買い付けのために往復をしていたこともあると聞くと、なんとなく時代を感じてしまいます。
自分を飾らずありのまま等身大の気持ちや思い出を書いてくれているので、同じ女性である私としてはとても共感を持って読むことができます。